大分大学医学部小児科学講座

私が小児科医になった理由

新入局員 首藤 万里恵

医師、そして小児科医という職業を志したきっかけは
何だったんですか?

高校3年生で進路を考えたとき、最初は医師になるつもりはありませんでした。何になりたいか迷って、これまで出会った大人のなかで目標にできる人を探すことから始めました。恩師や家族以外で思い浮かんだのが、かかりつけ医と家族の主治医、二人の先生の顔でした。かかりつけ医のおじいちゃん先生は、当時小学生の私の気持ちに寄り添い、悩んでいたことも明るく吹き飛ばしてくれる先生でした。家族の主治医は、患者だけでなく家族の辛さも理解してる先生でした。二人の先生は、病気の治療とは別のところで私の心を救ってくれました。そんな大人になれたらいいなと思って、医師を志すようになりました。

最初は精神科医や血液内科になりたいと思っていましたが、転機となったのは初期研修で小児科を担当したときです。先生方が患者さんや家族の方と必死に向き合う熱い姿に憧れ、理想の医師像を感じることができました。さらに患者さんや親御さんと密に接するうちに、力になりたいという強い思いが湧いてきて、小児科医になることを選択しました。

小児科医になって印象深かったエピソードや思い出を教えてください。

医学生の臨床実習のときに、「5日間で患者さんと仲良くなりなさい」というミッションを達成するべく、患者さんとじっくり向き合う姿勢の大事さを実際に感じることができたのはよい経験になりました。

とある患者さんと手話や筆談でコミュニケーションを取っていたとき、患者さんが手話で「先生好き」と伝えてくれたときはうれしかったですね。また、医学生の臨床実習や初期研修のときに担当していた患者さんの親御さんに小児科医になったことを報告したときに「先生が小児科医になってくれて嬉しいです」と言ってもらえました。その言葉に恥じないように、これからも頑張っていきたいです。

小児医療は子どもの生活やその後の成長に直結するため、少しでも健やかな成長の助けになりたいという気持ちでいます。

最後に、どのような小児科医を目指しているか教えてください。

患者さんの不安な気持ちや戸惑いなど、些細なことでも伝えやすい雰囲気を作れる医師になりたいです。まだ新人医師なので、親御さんとの信頼関係を作るのも大変だと感じます。何事も曖昧にせず誠実な対応をすることで、少しずつ信頼してもらえるようにこれからも努力していきたいです。

現在は診断の段階からひとりの患者さんと関わり、共に歩みを進めている最中です。患者さんやご家族の気持ちを受け止め、サポートしながら治療を進めるのは心身ともにハードな毎日です。その分やりがいを見出すことができ、この先も続ける価値がある職業だと感じています。