全国の大学から自分にとって最適な進路を探して、大分大学に入学しました。大分は縁のない土地でしたが、学生生活を送る中で親しみを感じるようになり、大分の方と結婚したこともあって、この地で働くことを決めました。
入局の決め手になったのは、医局の働きやすさと育成文化です。子育てをしながら活躍している女性医師が多く、将来のライフイベントを見据えても安心して働けると思いました。
実際に入局してみて強く感じるのは、先生方の温かさと、若手を丁寧に育てようとする姿勢です。診療やカンファレンスでは、一つひとつをわかりやすく指導してくださり、疑問や不安があればすぐに相談できる雰囲気があります。こうした支えがあるからこそ、安心して挑戦し、学びを深めることができています。
これまでで特に心に残っているのは、NICUで赤ちゃんを担当したときのことです。小さな体で治療を乗り越え、少しずつミルクを飲めるようになっていく姿を見守りました。そして退院の日、ご両親が赤ちゃんを嬉しそうに抱きしめる姿を目にしたとき、「本当に頑張ってよかった」と胸の奥から込み上げるものがありました。 看護師として働いていたころは新生児に触れる機会がほとんどなかったので、生まれたばかりの小さな命に触れる時間は、私自身にとっても特別でした。ほっと心が和むような優しい気持ちになると同時に、この子たちを守りたいという使命感も強く抱きました。
小児科は診療に時間や人手が必要なことも多く、難しさを感じることもあります。思うように回復しなかったり、症状が悪化してしまったりすると、親御さんの悲しそうな表情にどう寄り添えばよいのか悩むこともあります。
そんなとき支えてくださるのは、上級医の先生方の存在です。先生方の助言があるからこそ、一人で抱え込まずに患者さんに向き合うことができています。
まずは知識と技術をしっかりと身につけることが目標です。そのうえで患者さんやご家族の気持ちに寄り添い、「ちょっとしたことでも相談できる」存在になりたいと思っています。
将来的には、地域で働く小児科医として活躍することが理想です。幼い頃、親身に接してくれた地域の先生や看護師のように、安心感を与えられる医師になれるよう、力を尽くしていきたいですね。
医師、そして小児科医という職業を志したきっかけは
何だったんですか?
私は体が強くなかったので、入院や通院が日常の一部でした。採血のあとに「頑張ったね」と先生や看護師さんから声をかけてもらったり、シールをもらったりしたことが、子ども心にとても嬉しくて、今も鮮明に覚えています。
「いつか自分も、あのように誰かを励ませる存在になりたい」という思いがあります。私を支えてくださった先生方のように、体調の不安や治療の痛みを抱える子どもたちに寄り添い、安心できる時間を届けたい—— これが、お世話になった方々への恩返しであり、小児科医を志す原点になりました。
最初は看護師として小児科病棟で子どもたちや親御さんと接しました。看護師ならではの寄り添う姿勢の大切さを実感する一方で、治療にもっと関わりたいという気持ちが大きくなり、小児科医を志すことを決意しました。